認知症対策、認知症は楽しく予防しよう

認知症対策、認知症は楽しく予防しよう

デイサービスでの事件

週二回のデイサービスでの勤務で、認知症の利用者様、数人とかかわることがありました。ひとくくりに認知症の利用者様といっても、それぞれ進行具合が違うため、対応の仕方も違ってきます。新人介護職員の私は、まずそれぞれの認知の程度、食事、歩行、入浴、排泄、着脱などの日常生活動作を把握することをがんばりました。デイサービスでは午前中が入浴の時間になります。新人は大抵、お風呂の中で利用者様の頭や体を洗い、湯船まで誘導する役割を担います。利用者様、ここではAさんとさせていただきますが、Aさんは認知症がかなり進行している方でした。つたい歩きでゆっくりとなら歩ける人ですが、しょっちゅう「お腹がへったわ、昨日から何も食べてないの、何か食べるものない?」と言っていました。「そうなの?それはお腹がへりましたね。でも今作っているところなんです。

もうちょっと待ってくださいね。」そう言うと、仕方がないなという感じで諦めてくれますが、またしばらくしたら同じことを言う、ということが続いていました。ある日のデイサービスで、私がお風呂介助を担当させていただいた時の出来事です。私の寿命が3年は縮んだのではないかと思うことが起こりました。それは頭も洗い終わり、いつもどおり湯船に誘導し、浸かっていただいていた時のことです。おとなしく浸かっているのでその間、私は使用したタオルを洗っていました。すると先輩職員に「あまり目を離さないでね、そろそろあがってもらって」と言われ、まだ2分くらいしか浸かってもらってないのにもうあがらせるのか…と思いながらも、湯船に向かい、Aさんを迎えに行こうとした一瞬でした。

湯船のいすに座っていたAさんの足がふわっと浮かんで、そのまま体が浮いてしまったのです。びっくりした私は慌てて助けに行き、間一髪、顔が湯船に浸かる前に助けることができました。声かけで気がついてくれ、先輩職員と一緒に慌てて脱衣所へ連れていきました。そして脱衣所でちょっと休憩した後、私が更衣も手伝ったのですが、立っていただいてリハパンとズボンを一気にはいたら着替え終了というところで、また事件が起こりました。今度は立った瞬間にAさんは白目をむいて首ががくっとうなだれてしまったんです。もうパニックの私は「誰か〜ナース!助けて」と叫んでいました。すぐにナースがきてくれ、Aさんを早く寝かせてという指示どおりにし、後はナースにお任せしました。

新人介護職員にはなかなか衝撃的な出来事でした。結局Aさんは寝不足が続いていて、お風呂で気持ちよくなり寝てしまったということでした。デイサービスではお風呂に入る前に、体温や血圧をチェックして体調の良い人しか入れないのでこういうことは珍しいようです。ですがお風呂では滑って転んだり、おぼれたりする可能性は大いにあるので、先輩職員に注意されたように、目を離さないということはとても大事で事故を防ぐには欠かせないことだと思いました。特に認知症の進行した方は「今日は寝不足でお風呂に入ったら眠くなるかも」といったことを自分で言うことができません。注意して表情や体の温かさなどで体調の変化を読み取ってあげないといけないと痛感しました。

 

デイサービスでの認知症予防

デイサービスでは来所された利用者様より順に健康確認をしていただき、入浴します。その間に認知症対策としてみんなが取り組める塗り絵、間違い探しなどをやっていただきます。いつでもできるように利用者様それぞれのファイルに入れてあります。もちろん好みがありますので全然やらない方もいます。数独や簡単な脳トレも新しいものを見付けたらすぐ取り入れるようにしています。みんなが入浴も終わり、朝のレクリエーションが終わったら、口の体操をし、その後、昼食をとっていただきます。食べ終わった方から順に口腔ケアをしていただきます。しばらく休憩の後、機能訓練で足の体操をします。みなさんトイレに行く以外は座りっぱなしという方が多いので、ここでなるべく動いていただきます。

そして午後のレクリエーションです。認知症対策としてはこの午後レクが予防に役立っていると思います。午後レクは介護職員が話し合い工夫し、いろいろ準備をして同じレクばかりにならないように変化をつけ、利用者様に楽しんでもらえるようにしています。例えばこんなレクがあります。ジェスチャーゲームです。介護職員がお題をこっそり一人の利用者様に伝え、それをジェスチャーでやってもらい、他の利用者様に当ててもらうというゲームです。皆さん最初は恥ずかしがってなかなかやってくれないのですが、慣れてくると大きくジェスチャーしてくれて、大変盛り上がります。お題からそれがどんな特徴があるのか、どう表現すれば伝わるのかを瞬時に考えないといけない、頭と体を同時に動かす良いゲームだと思います。

他にも盛り上がったものでいうとペタンクです。利用者さまそれぞれに1つ名前入りの缶を渡します。部屋の中心に空き缶を一つ置き、ゲームはスタートです。順番に缶を転がし、部屋の中心に置いた缶に一番近い人が勝ちです。一人2回転がしていただき、2回のうち近い方で勝負が決まります。なかなか思ったように投げられなかったりしますが、皆さんどう投げたらうまくいくかを考えながら投げているようでした。簡単なスポーツですがみんなでできる体を動かせるレクは好評です。手芸の午後レクは女性に人気です。手芸は指先を使うために介護度の高い方は職員がつきっきりでないとできない方もいますが、薄紙をねじって藤の花を作ったり、絵の具をスポンジにつけて、鯉のうろこを描いたり、壁に掛ける飾りを作ったり。季節に応じた飾りを作って楽しみます。

指先を使った細かい作業は高齢者には難易度の高いことかもしれませんが、手先と頭を同時に使う作業が脳に良い刺激を与えます。そしてデイサービスでの一番の予防は職員や利用者様同士のコミュニケーションだと思います。楽しくおしゃべりでき、笑顔になると表情筋を使うことになり、脳もフル回転しエネルギーを使います。自宅でいつも一人でいる方や家族がいてもあまり会話がないという方もいます。「デイサービスに来てあなたたちとしゃべる方が家にいるよりいいわ」と言ってくれる利用者様もいて、とてもやりがいを感じます。人とのコミュニケーションは人間の生活にとって不可欠です。今後も楽しみながらできる認知症対策で高齢者のサポートをしていきたいです。